西暦二千十八年三月三日

デカフェアールグレイを大量に作って冷やしておくととても便利!

 

三時におきたのでいったん自殺して、それから『怪奇小説傑作集4』を読み、復活してきたところで映画を観ました。

 

サド侯爵「ロドリゴあるいは呪縛の塔」は飛び出す3D!みたいな地獄めぐりの描写が大迫力でとにかく楽しい。ジェラール・ド・ネルヴァル「緑色の怪物」は読む前から絶対一つはあるだろなと想像していたカタコンベものだが思ってたのと違った。グザヴィエ・フォルヌレ「草叢のダイアモンド」冒頭の蛍の色占いの記述が "幾何学的精神" ってやつなんですか。テオフィル・ゴーティエ「死女の恋」昼は僧で夢の中では吸血鬼と逢瀬を重ねる騎士様のドキドキ二重生活これは傑作。バルベエ・ドルヴィリ「罪のなかの幸福」もかなりよくて目線だけで黒豹を屈服させる気迫を放ちまた剣技にも長けた女丈夫がかつて夫と共謀して恥ずべき行いをしたはずなんだけどもんなこと関係ねえ!なんだかんだ地球で一番くらい幸福なんだぜ今という話。解説によるとドルヴィリは異端審問復活論者だったというヤバ情報があっていろいろ納得した。公正でない世界がマジモンの恐怖だったんだなー。唯物主義者で皮肉屋の医者が語り部であるせいかどうなのか、ちょっと全体的に冗長気味ではあるんだけど、女丈夫の生まれ故郷なんかのディテールがすごくよくてそれでもいいなとおもった。シュオッブ「列車〇八一」たぶんこの中でいちばんうまいし、いちばん怖かった。十九世紀は急速な都市化とそこで爆発的に拡がる感染症の時代であったんだなあ。レオノラ・カリントン「最初の舞踏会」素晴らしい。これだけかなり毛色が違うというか現代的すぎる。

 

『シタデル・オブ・ランズ・エンド』はかなりヘンテコな映画で、題のごとくランズエンド岬に発掘旅行しに来た地質学者グラントとお供の自称魔法使いの弟子ジョーンズがいちゃこらしながらいろいろと発掘してなんやかんやあって自称独立国をつくるお話。いろいろの内訳というのが、恐竜を自称するサンタクロースとか魔法使いの師匠とか原人とか大戦の残骸とか。骨格の時点ではちゃんと恐竜だったのにね。ちょっとキンザザっぽいんだけど、特撮は皆無。発掘するときは常に深いディゾルブが二重三重にかかってグラントのイキ顔がどアップになっていたのが実は魔法の発動エフェクトだったことが終盤に判明して、結局恐竜マニアの師弟にグラントは利用されていたらしいことがわかる。でも結局は恐竜を自称する狂人しか出てこないので主人公は埋められそうになるのだが、人間の始祖を自称する光輝を背負った人物が最下層から現れておもむろに取り出した拳銃で、自らの存在を否定する恐竜骨格と恐竜を自称する人々を全員撃ち殺すラストは、魔法使い師弟に共感してちょっと泣いてしまう。まあ全体としてはサー・トマス監督のランズエンド愛と、すべては埋まっているだけなんだという強い楽観が全編を覆っている。

 

明日の予定:愛と勇気は言葉

 

 

 明日につづく。